膜構造建築物は、屋根や外壁に膜材料を用いた建築物で建築分野における新しい技術です。

空気膜構造の仮設建築物について、当協会で「仮設空気膜構造設計規準」を定めました。

仮設の空気膜構造に関しては、建築基準法旧第38条の根拠条文のもと、1971年に建設省住宅局建築指導課長から住指発第309号「ニューマチック構造(空気膜構造)設計規準(昭和46年5月18日 住指発第309号)として特定行政庁あてに通達され、国内でも多くの実績ができた。また1987年には特定膜構造建築物技術基準が旧法第38条に基づく大臣認定(一般認定)を取得し、技術基準の中に空気膜構造に関する基準が示され(空気膜構造は面積3000㎡まで)、仮設、常設に関わらず、多くの実績ができた。3000㎡を超える空気膜構造も、法第38条の大臣認定(個別認定)で、仮設、常設に関わらず、いくつかの実績ができた。

しかしながら、平成12年の法改正により、上記の根拠条文であった法第38条が削除され、その後、膜構造に係る構造規準として平成14年国土交通省告示第666号が制定されたところである。この告示の中で膜構造が規定されたが、空気膜構造は規模の大小を問わず告示範囲外となり、性能評価と大臣認定(個別認定)が必要となった。ただし、法第85条第6項、第7項に規定する空気膜構造の仮設建築物は特定行政庁の許可があれば、建築主事等による確認を経て建設が可能である。

このような経緯から、現在有効な空気膜構造に関する基規準がない状態のなか、仮設建築物であれば、建設される可能性があるため、当協会ではこれまでの経緯をふまえ、一定の安全性の水準を保つよう、「仮設空気膜構造設計規準」を定めた。仮設空気膜構造を建設する際の参考資料としてご活用いただきたい。なお、当協会で行う空気膜構造の仮設建築物に係る技術審査の際には、本規準に基づいて審査することとしている。

本規準は、法第85条第6項、第7項に規定する仮設建築物のうち空気膜構造を用いたものについて、構造・材料および避難・維持管理について定めたものである。また、告示第666号の規定のうち、仮設建築物でも適用される一部の仕様規定については、仮設空気膜構造でも遵守することしている。なお、本規準は構造安全の確保の見地から、当協会が定めたものであり、防火関係規定その他の規定に係る適合性の判断に影響を及ぼすものではない。本規準に示す避難・維持管理に関する項目については、空気膜構造特有の規準のみを定めたものである。

関連ファイル

仮設空気膜構造設計規準